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「妙に嫌な予感がするんだが、臓器を取出しているとか無いよな?」
ソラは、過去の前例を思い出して上げた。手術や治療は成功させるが、患者から臓器の一部を摘出し、売り捌いていたという医者が存在する。
「そんなことあるはず無い!」
ルリが、侵害だと言わんばかりに声を響かせる。
「なら、治療すら振りして、自白剤投与。機密事項の暴露大会……とか」
「……まさか」
ルリも不安が過ぎったか、診察室に目を向けた。左隣にある診察室の扉は、重く閉ざされている。物音が聞こえない上に、出入りが少ないのが、不気味であった。
「でも、副って、あれで狙われてるんだ。俺以上に」
「え、そうなの?」
「うん。副は、俺以上に悪党やその道の業界に名前が知れてる」
「確かに、監獄島の第一等星に勤めるってだけでも知名度高いなとは思うけど。スピカさんって普段はどんな人?」
「普段。俺に意地悪してくるよ」
ソラは、嘘を適当に吐いた。退屈だったのだ。
「神様に?」
「うん。あっちこっちから物投げてきたり、俺のおやつ取ったり。硝子割ったの俺のせいにして始末書書いたり」
「あの、島で何してんの?」
「島では毎日、走り回ってるよ」
ソラは、惚けた答えを続けた。
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