29人が本棚に入れています
本棚に追加
「仕事はしないの?」
「毎日、遊んでる。犯罪なんか毎日あるから、検挙するだけ時間の無駄なんだ」
「……へえ。監獄島が規律で縛られているってのは、誰かが吐いた噂なんだ?」
「そうだよ。副は、俺の付き添い。だから、悪党の中では、大いに狙われていると言うわけなんだ」
「なるほど。でも、この病院は軍が運営している場所だから、そんなことは絶対に無いわ。今までだって、蠍の被害で運ばれた患者は沢山いるんだから」
「それで、あの蠍は、式紙じゃないんだな?」
「ええ。歴とした、自然界の生き物よ。炎を纏うのは生物でも種術が使えるのではないかと仮説が付いているわ」
ルリが、蠍に付いてそう語り、二人を襲った蠍は、境界線であるとも付け加えた。
境界線に住む、蠍は、昔から商人を襲い、物資の供給を妨げる。毎年、繁殖期の春に駆除しているが、夏には幼虫が、秋には成虫が大量に発生するという。どこかに巣窟があるのでは無いかと探し回るが、未だに発見されていない。特に、あの地域には砂流があり、思うように歩けないらしい。物資供給は、式紙が主流となる。然し、それも見透かしてか、蠍は集団となり、空まで届く蠍として対抗してきたのだとルリが話す。
最初のコメントを投稿しよう!