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「つまり、蠍の襲撃と副の種術が齎した振動と圧力で、砂漠の砂地が崩壊して出来たものということか」
「崩壊したきっかけは、それだと思うけれど、振動無しに蠍を駆除する技術なんて持ち合わせていないでしょう?」
「まあな。蠍を見付けるには、昼間の方が都合良いことはわかった。それから、毎年駆除するって言ってたけれど、どうやってるんだ?」
ソラが問い返すとルリが、言った。
「薬を蒔くのよ。簡単でしょう?」
ルリは、正直に答える。
「その薬ってどこにある?」
「警備隊が仕切る倉庫の中だけど、流砂がある以上、蠍を捌くのは難しいんだから」
ルリは意味深に告げてソラの表情を見詰める。
「空から薬を蒔くにしても式紙が必要だよな。それから、倉庫の薬を持ち出したらまずいだろう?」
「神様なんだから、命じれば良いのに」
ルリが、笑った。
「俺は神様じゃないんだって。ソラで構わないから」
ソラは、溜め息混じりに言い捨てた。神様と呼ばれるのが嫌だったのだ。最近は、名前を名乗ることにしている。それでも、強情な人々は、ソラを神様と呼んだ。ルリもなかなか強情なスタンスを崩さない。
「神様は神様よ。そう呼ばないと周りに睨まれる」
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