一章/砂漠

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「つまり、蠍の襲撃と副の種術が齎した振動と圧力で、砂漠の砂地が崩壊して出来たものということか」 「崩壊したきっかけは、それだと思うけれど、振動無しに蠍を駆除する技術なんて持ち合わせていないでしょう?」 「まあな。蠍を見付けるには、昼間の方が都合良いことはわかった。それから、毎年駆除するって言ってたけれど、どうやってるんだ?」  ソラが問い返すとルリが、言った。 「薬を蒔くのよ。簡単でしょう?」  ルリは、正直に答える。 「その薬ってどこにある?」 「警備隊が仕切る倉庫の中だけど、流砂がある以上、蠍を捌くのは難しいんだから」  ルリは意味深に告げてソラの表情を見詰める。 「空から薬を蒔くにしても式紙が必要だよな。それから、倉庫の薬を持ち出したらまずいだろう?」 「神様なんだから、命じれば良いのに」  ルリが、笑った。 「俺は神様じゃないんだって。ソラで構わないから」  ソラは、溜め息混じりに言い捨てた。神様と呼ばれるのが嫌だったのだ。最近は、名前を名乗ることにしている。それでも、強情な人々は、ソラを神様と呼んだ。ルリもなかなか強情なスタンスを崩さない。 「神様は神様よ。そう呼ばないと周りに睨まれる」
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