一章/砂漠

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「なんとかならないかな?」 「ならない」  ルリは、呟いた。  そのあとも、流砂を止める方法を議論したが、結局、種術で結界を編むくらいだろうということになった。  しかし、種術にもそれなりの専門知識が要る。砂漠救援警備隊にも結界に詳しい人物はいるのだが、技量が追いつかない。  新たに種師を向かい入れるには経費と時間が掛かるとルリが語る。  頼みのスピカは、診察室の中だった。 「どこか食事ができるところはないかな? オアシスを出てからなにも食べてないんだ」  ソラは、思い出したようにルリに尋ねた。 「それなら、良い食事所があるから案内するわ。でも、何故、式紙を使わなかったの。それと、神様なら、移動種陣も使えた筈じゃ」 「イリスが破壊されて、移動方面にも影響が出ているらしい。制限が掛かって、副には出来ないらしいよ。式紙は、俺も副も論外なんだ」  種機イリスは、ラッドサンド大陸の通信や情報、交通事情を牛耳るシステムだ。第二次神官対戦の時にソラが、破壊した。  種機イリスが壊れてからの大陸は、それなりに回っているが、移動や運送が滞っている。移動種陣を使う職業は、大打撃を受けている。物資が届けられない地域は、ソラを悪む傾向さえ現れているらしい。
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