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ソラは、診察室を見たが、未だに開かれる気配が無い。同じ風景を見ているのもソラとしては限界だった。
「お腹すいた」
ソラは、看護師を探して、スピカに伝言を頼むと、ルリを呼んだ。
「食べに行こう。副の前に俺が死にそうだ」
「……なら、あたしが住んでる寮が良い。近くにあるから、食事くらい用意できる。それなら、スピカさんが起きた時に連絡も入りやすいでしょ」
ルリが、答えた。
「その方が助かる。食材はある?」
ルリが、病院の通路を歩きはじめたので、ソラも後ろを歩く。バンダナと色眼鏡さえ外さなければ誰もソラのことには気付かない。
「砂漠の食物だけどね。ウォッカは水があるからまだマシなの」
既に日が落ちた街の温度は、松明や篝火、人の熱でなんとか住める温度を保つらしい。しかし、水の確保ができる地域でなければ、住むのは困難だとルリは、語る。
家は、砂壁か泥壁で造られている。弾に、木材でできた家は、必ず、三階建てだった。三階建ての家は、多人数が住み着いている。また、一階が酒屋という風景も見受けられた。砂漠から離れているが、昼間は、二十五度を上回るらしい。それこそ、結界で天候管理を勧めたいところだが、管理費が膨大で街の長が渋るらしい。それでも、生活に必要な物は大概揃っているからと、砂漠をこよなく愛する住民が寄り付いてできた街でもあった。
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