一章/砂漠

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「そうだな。領域の国境に居るから、ついでに消しておいてくれと話されてたっけ」  ソラは、色眼鏡を気にする。ネジが緩んでいるのだ。だから、先程まで着けていなかったのだが、太陽の光に負けた。眩しいを通り越した痛い輝き。ラッドサンド大陸に太陽がふたつあるようであった。 「巨大化した蠍で、身体に炎を纏い、キャラバンを襲っているらしいです。だけど、これ、僕らが処理しないとならないのでしょうか?」  スピカが、疑問を投げる。 「いや。本来なら神官領域を治める長の仕事。俺らが訪問したから腹いせに頼んだんだろ。神官長はそういう奴だ」  ソラは、色眼鏡を取り付ける。ネジが弱くなり、ずり落ちて来る。しかし、外すと眩しくてしかたがない。真昼の砂漠は歩くものではないと知ったのは、ブランデイを出発して、二日後の話であった。 「腹いせに魔物退治の依頼ですか? 良い御身分になりましたよね。彼も」  スピカが、笑う。 「大陸半分の領主だもんな。ただの悪党がさ」  ソラも神官長として就任したばかりの男を思い出して笑う。砂が、風で動いた。立つこともままならない熱風が、過ぎていく。 「副。蠍って、土竜より大きい?」  ソラが、立ち止まる。
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