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ソラは、流砂に呑まれていた。もがけば、沈みは早くなるだけだと言うことを、蟻地獄で経験済みだった。蠍も流砂に呑まれて消えていく。スピカが、縄の変わりに服を繋ぎ合わせてソラの方に投げようとしていた。
そんな最中、空に飛来したのは鷲だった。そこから投げられた縄が、ソラに絡み付く。
「動かないで、引き上げるから!」
鷲から叫んだのは、青髪の女だった。年頃、二十歳前後だろうか。耳に付けたピアスがきらりと光。
「蠍に逆らうな! 今、助ける!」
続いた声は、駝鳥に乗った人々から上がる。彼等の右腕には、救援隊の刺繍が縫われていた。砂漠を管理する団体のようだ。
スピカとソラは、それぞれの位置で動きを止めた。
上空に居た鷲が、縄に掴まったソラを引き上げ、蠍に刺されたスピカを救助する。
拡散した蠍は、そのまま流砂に流れて、暫く、流砂は赤く染まる。
助けられた二人は、そのまま式紙で搬送された。
二人を助け出したのは、ウォッカ街を拠点とする砂漠警備隊の面々で、見回りをしている最中であったという。
移動開始から、数時間後、スピカとソラは、目的地であるウォッカ街の病院にたどり着く。
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