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診察の結果、ソラは特に外傷はなかったが、スピカは、腕や足に蠍の毒を受けて、現在、医師に治療を受けている。蠍の毒の餌食となったスピカの治療が終わるまで、診察室の外にある長椅子に座り、ソラは、ルリに旅の目的を話して聞かせていた。
「それじゃあ、神様が破滅の詩を探して旅をしているって話は、本当だったのね」
砂漠地帯を警備するルリ・サモナンという女が、しきりに瞬く。ルリの活発な印象を受ける顔が、ソラの話に俄かに輝いていた。
破滅の詩に纏わる伝承は、このウォッカ街にもあるようだ。そして、それを探すソラとスピカの噂話も、相当な速度で出回っている。少し話しただけで、ルリは、興奮した。
「それは間違い。俺は神様じゃないよ。流砂に呑まれてる神様なんかいない。そうだろ?」
ソラは、ルリに言い聞かせるように言った。確かに、ソラは、世界でたったひとりの黄髪黄眼を持つ人間だ。そのうえ、ラッドサンド大陸を治める二大勢力、神官と政府が神と呼んでいる。それでも、ソラは人間で、喧嘩が強かったり、人の倍は運動神経があるが、全知全能の神様には程遠かった。
「謙遜しなくても良いじゃない。島から出たことが無いから、砂漠の知識なんて持ち合わせてなかっただけでしょう?」
ルリが、悪気無く笑った。青髪青眼で、露出度の高いワンピースを着ている。剥き出しの肌は、日に焼かれて黒かった。
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