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「まあ、なんでも良いけど。崇めるのは止めてほしい。目障りだから」
ソラは、上着たけ脱いだ。気温は、大分落ち着いている。砂だらけの日笠とフード付きのマントは既に洗濯した後だ。頭に巻いたバンダナと色眼鏡を付け直し、薄いシャツ一枚になる。上着は、丸めて椅子に置いた。
「別に、崇めないよ。それより、その上着。破けてるね。縫って上げる」
ルリが、ソラが脱いだ上着を手にした。
「いいよ。また、破ける」
ソラは取り返そうと手を伸ばしたが、ルリは首を振る。
「任せといて。それに、スピカさんが治るまで、街に居るんでしょう? 良ければ、図書館にも案内したげる」
「それは嬉しいけど。以前に、上着を持ち去って競売に賭けられた記憶があるんだ」
ソラは、椅子に座ったままで言い返す。
「あ! 酷いな。あたしがそんなことするように見える?」
ルリが不満を表すので、ソラは、色眼鏡を取り外す。
「女は、金の亡者。男は自由の亡者。この大陸はそう言う奴らしか居ないから。上着、返してくれ」
ソラは、ルリに手を伸ばす。
「金なんか要らないし。親切で言ってるのに!」
ルリが、軍服の上着をソラに投げ捨てた。
「……そして、気性が荒い」
上着を頭から被り、ソラは小さく呟いた。
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