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飛鳥「…今日は、雲一つ無い晴れ模様だな」
縁側に座り空を見上げる飛鳥。その目は、どこか切なげな目をしていた…
飛鳥「……あの広い空を、自由に行く事が出来る雲に…なりたい…」
土方「何になりたいって?」
飛鳥「!!」
飛び跳ねて立ち上がった飛鳥は、いつの間にか後ろに佇んでいた土方を思いっきり睨んだ。
飛鳥「…何故ここにいる?」
土方「…ここ、俺の部屋の前だけど?」
飛鳥「………」
途端、物凄く嫌そうな顔をした飛鳥に土方はイラッときた。
青筋を浮かせた土方はゆっくりと刀に手をかざした。
土方「テメェ…平隊士のくせに俺に歯向かいやがって…
たたっ斬るぞ」
飛鳥「…フンッ。お前に私は斬れやしないさ。
……ただの赤の他人なんだから、放っておいてよ」
土方「あぁっ!?」
飛鳥「……うるさいわね」
つねに瞳孔が開いている土方よりも、更に瞳孔をかっ開かせた飛鳥は静かに踵をかえし、どこかへと去って行った…
その背中をただジッと見ている事しか出来なかった土方の右手は、刀の柄を掴んだままプルプルと震えていた。
飛鳥「…何で、私が…」
あの男と…いや、この真選組と仲良くやっていかなくちゃいけないわけ?
例え近藤さんが言った事だとしても…、やはり他人と一緒にいるのは嫌だし、出来れば話もしたくない。
……とは言っても、近藤さんの言った事だから仕方ない。
命を救われた身である私が恩人に逆らうのは、私のルールが許しはしない。
飛鳥「……ちょっとくらい、外に出ても大丈夫よね」
私は歩む足を門の方へと向けた。
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