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そんな俺を見かねて、龍--煌朧龍は言う。
「我とて、無駄に命を奪いたいわけではない。そうだな……この命を絶つ者が現れるのを待っている。いや、見極めていると言った方がいいか」
「自殺志願者?」
「少し違うが、そうなるな」
煌朧龍はそう言うと、目を閉じる。
自分で殺されたいとか言うなんてかなり変わった龍だ。
そんなこと言うのは変わり者か薬をヤりすぎた奴とかそんな類だろう。
「それなら、自分で「それはできん」何故?」
自分で命を絶てばいいんじゃないか?と言おうとした俺の言葉は、否定の言葉で遮られた。
「我は、既に万人、いや、数え切れぬほどの命を奪っている。そんな者が易々と自らの命を絶っていいはずがない」
そういう煌朧龍は何処か遠い目をして続ける。
「……それに、そんな事をしたら彼女に合わせる顔がないからな。全力でぶつかり合い、それでも適わぬ者に敗れるなら彼女も分かってくれるはずだ」
要するに、此奴はプライドが高いんだな。
それより、こんな化け物に女なんて居たのか?とてもそうとは思えない。
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