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血の臭いがする。
村が賊に襲われた。
その賊ももういない。
あれだけ悲鳴を上げていた人達も静かになった。
どうも、僕以外の村人は殺されたらしい。
僕の両親も殺された。
建物からは火が上がり、夜だというのに明るい。
僕は死に損なった。
僕は地面に倒れたままだ。それでも顔だけは上げていた。
理由は彼女を死ぬまで見ていたかったから。
燃え上がる火を反射する銀髪。同色の瞳。
女神とも言える美貌を持った女性は鎧を着けている。僕は彼女に触れたくて手を伸ばした。
その手が届いたのかはわからない。
ただ、結果としては僕は死ななかった。
悲しみを背負って生きながらえる、敢えて言うなら僕の第二の人生が始まった。
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