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しかし、ヒレなど見当たらない少女は、螺旋を描き岩肌をぬうように泳ぐ。 あきらかに人間の形をしているのに、深い海も空気のある陸上のように泳ぎまわり、イルカたちと共に、近くの人魚の形に似た美しい島をねぐらにしている。 人間が海の底を泳ぐときに使う酸素ボンベなど、少女には何一つ着けていない。 そればかりか、人間が泳がないような深い場所まで来ていた。 それは生物学的には不可能なことなのに、少女は簡単そうに泳ぎ、人間が絶対的になし得ないことを、少女は当り前のように何の苦もなく泳いでいる。
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