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「――っ、ん…?」
腹辺りに刺すような痛みが走り、俺の意識は浮上した。
辺りを見渡すとどこかの小屋のようで、必要最低限の家具と家電しかない。
「どこ、だ…ここ……」
声を出すのも随分億劫だ。
「起きたか」
不意に聞こえた声のした方を見れば、入り口にあの男が立っていた。
「お前…日本語……」
「私は日本人だからな、喋れないわけがないだろう」
「じゃあ何で……」
「あの森でな、こういう格好をしてカラコンを入れているとな、お前みたいな奴が簡単に釣れる」
男は口元に手を持っていき、妖しく笑う。それがやけにサマになっていて、ゾワリと背筋が粟立った。
「俺のような…?」
ゾワゾワと粟立つ背筋を我慢しながら俺がそう聞くと、男はニヤリと笑って、俺に覆い被さってきた。
この時俺は初めて、自分の両手がベッドヘッドに括り付けられていることに気が付いた。
逃げようともがくと、男がソッと括り付けられている俺の腕を握った。
「俺が日本語に不便だから、簡単に抱けると思って近寄ってきた、自分が抱かれるとはこれっぽっちも思っていない
…バカなタチが、だ」
「――っひ!」
不意に服の中に手を入れられ撫でられた瞬間、ゾクゾクと言い表せない感覚に囚われる。
(何、だ…これ…っ!)
「お前にも教えてやる。
自分はタチなんて大層なものではなく、男のナニを銜え込んで善がり狂う、ただのネコなんだってことをな」
男が俺の首筋に噛み付き、俺の口からは聞いたことのない高い高い声が出た。
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