I wanna be a HERO!

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カランコロンと気持ちのいい綺麗な音がして、そっちを向いたら、そこに無精髭の男がいた。 年は30代ぐらいかな。 白い服に帽子、ってことはパティシエなのかな。 「食べるかい?」 俺がその無精髭の男をポケーッと観察していたら、その人は低い声でそう言って、俺にピンクでフワフワのケーキを差し出して来た。 その瞬間、俺は恋に落ちた。 雷が落ちたとかそんなんじゃなくて、世界が変わった。 そんな気がした。 結論から言えば、動転した俺はそれを受け取りも食べもせず、ダッシュで逃げてしまった。 まるで恋する乙女だ、と自分の行動を反省した。 それから数ヵ月、学校のある日は勿論のこと、土日さえも俺はその店の前を通った。 通るだけ、を何度も何度も。 通って、店内であの人の姿を見るだけで嬉しくなって、それで家に帰った。 まるでストーカーじゃないか、と反省しつつも止められなかった。  
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