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そしてそんなことを重ねて、数日前。
その日も俺は休むことなく、あの人の店の前を通っていた。
その時。
「キャァアーーッ!誰かその男捕まえてぇえ!!」
甲高い女の人の悲鳴に振り向けば、女もののバッグを持った男がこちらに走って来るところだった。
所謂、引ったくりか。
(―って、無理無理無理!俺に止めれるわけないじゃん!)
そう思いつつ、ヒーローが絶対にやらない、悪党に道を譲るという行為をしようと思った……が、女の人の言葉が俺を止めた。
「その中に、新作のケーキが……っ」
俺がまだ食べたことない、あの人のケーキ?しかも新作?
えっ、それを何?この引ったくり、こいつ俺を差し置いて持って帰ろうとしてんの?
持って帰って何?食べるの?こいつが?
俺も食ってないのに?
「―――っざけんなぁああああああ!!!!!」
気が付いたら、男にタックルをかましてた。
「ふっざけんなお前ぇえ!!俺も食べてないのに何?抜け駆け?絶っっ対許さねぇっての!!つかお前ケーキ食べるような顔してないのに、何ケーキ引ったくってんの!?」
…と、100%八つ当たりの内容で犯人を押さえ込んでいると、いつの間にか来ていた警察にそいつは連れていかれた。
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