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そして、今。
「よぉヒーロー」
カランコロンと、綺麗な音を鳴らして店内に入れば、甘い匂いとあの人の声がした。
「ヒーローって呼ばないで下さいって言ってるでしょ、秋さん」
「俺にしてみりゃ、ヒロはちゃんとヒーローだけどな?」
秋さん、秋 脩司さん。
1979年9月30日、日曜日生まれの天秤座、B型の32歳。
誕生石のサファイアは慈愛の象徴で、秋さんにピッタリ。
因みに俺とは13歳差。
右手首に黒いベルトをいつもしてる。
それがまたセクシーで……
「ところでヒロ、新作出来たんだけど食べるか?」
「へっ?あ、新作!?待ってました!どんなのっすか?甘い系?苦い系?」
「黄色系の、とびっきり甘いやつ」
「へぇ、黄色とか秋さんにしては珍しくないですか」
秋さんは頬杖を突いて、ニヤッと笑った。
「うん、ヒーローを意識したらそうなった」
「えっ」
秋さんがニッコリ笑って差し出した俺の髪と同じ色の黄色いケーキを、俺は黙って口に運ぶしか出来なかった。
I wanna be a HERO!
貴方だけのヒーローになりたい!
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