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(外国人か?…なら言葉通じなくても仕方ねぇか)
「あー…っと、I do nothing. You don't need to be cautious.」
(何もしないから、警戒しないでくれ)
俺がそう言うと、男は少し躊躇いながら小さくコクリと頷いた。
頷く動作に、俺の喉が鳴る。
(たまんねぇなぁ…あんな細ぇと、すぐ押し倒せそうだ……)
そこまで考えてからハッとして、頭をガシガシと掻く。
家にいられなくなった理由、それは俺がどうしようもなくホモだから。
細い男を見れば、押し倒したくてウズウズする。
ホモっつったってタチだから、そこらのヘテロの男と何ら変わらねぇはずなのに。
それなのに家の奴らは「家の面汚し」だの「気色悪い」だの。
――相手が子供産めねぇだけで、ヤってることはてめぇと同じだクソ親父!
……と、年甲斐もなく大声を張り上げたら、年老いた親父の、まるで年老いたと思えぬパンチを頬にモロに受け、吹っ飛ばされ、勘当された。
カッとなって家を出たが、行くところもねぇし、細い男を見りゃムラッと来ちまうから町の中にも落ち着いていられない。
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