とある結晶と新世界

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 20XX年、平行世界に移動できる鉱石――〝ヴァルト鋼〟が小さな発展途上国から出土した。  それを皮切りに、世界各地で突如としてヴァルト鋼が大量に出土するようになった。これが後の、『第二次産業革命』の幕開けだ。  人類は『ヴァルト』と名付けた平行世界へと旅立ち、ヴァルトの豊富で潤沢な資源を、基本世界の地球に持ち帰った。  J国政府は、新世界ヴァルトを巡って戦争や利害対立が勃発する事を危惧し、いち早くJ国全土におけるヴァルト鋼を徹底管理する事を宣言。結果、ヴァルト鉱を巡っての争いがJ国内で発起することは無かった。  世界政府はJ国の対応に習い、地球上の全ヴァルト鋼を管理することを提唱、受諾した。ヴァルト鋼は、世界平静化の為に有効活用されることと相成ったのだ。  やがて世界政府に変わってヴァルト鋼を代行管理する、非政府団体『平行世界ヴァルト管理委員会』、通称ヴァルト会が発足。ヴァルトの資源は彼らによって、現在進行形で世界に平和と安泰をもたらしている。  世界の平静は今もヴァルトによって顕著に続いているが、それもヴァルト鉱発掘の先駆けとなった斑目氏の偉業の一つと言えるのかも知れない。  なお、彼は早くも『ヴァルト会』の代表取締役として新たなヴァルト開発企画を進めているようだ。それが、平行世界を舞台とした次世代ゲームだ。  詳しくは事項の、『次世代ゲーム〝D‐ブレイク(仮)〟開発』にて参照―― 第二次産業革命の仕掛け人――『斑目宜久の偉業』より抜粋。
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