プロローグ

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仕事の関係で、福岡から都心部へ単身赴任する事が決まった。 母と弟と俺とで、小さい頃からこの3人で暮らしてきた実家。 離れるのにも少なからず抵抗はあった。だが、もう決まったこと。 ただでさえ「やっぱ止めた」なんて言えない時代だ。 引越の整理をするために、 古びた本棚に立てかけられた書類や雑誌を処分品のダンボールに入れていく。 エロ本は服が入ったダンボールにしっかり隠した。 「うっわ、懐かしいな」 ふと視界に入った小学校の卒業アルバムを本棚から引っぱり出した。 多少、埃(ほこり)を被っているが問題ない。辛うじて文字は読める。 どこにあったのか、いや、探そうともしなかった思い出だ。
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