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幼き日の記憶
多くを体感して枯渇した心には
剰りにも懐かしく響く
溢れる程に豊潤な
留まる程に甘美な
過去の追憶
まるで今その場にいるかのように
くっきりとしていて
途切れる事ない場面たちが
僕に語り掛ける
独り心中に刻んだ過去の記憶
幾度の再生を繰り返して
現実と夢想の境は曖昧に
幼き故の無邪気だったのか
幼き故の浮遊夢だったのか
けれど優和をもたらす宝石であること
瓦解しそうな脆い心の支えであること
それは確か
僕は静寂の中で
そっと宝石箱の鍵を閉めた
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