追い掛ける背中

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波越えぬ 契りありてやみさごの巣 --------------------------- 六月の風が頬をなぞってゆく。 まだ初夏とは言うものの、 昨日まで続いていた雨のせいか まわりは蒸し暑い。 旅はまだ折り返し地点だ。 これからまだ暑くなると思うと 象潟の絶壁に広がる絶景の前でもつい、 気がめいってしまう。 この景色を、なんとしてでも 言葉に残さなくては……… そんなとき彼─曽良君が読んだ句 あぁだめだ、やはりこの景色は 心を病ませるものがあるらしい。 例えばこんな戯言を言ってしまうくらいには。
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