出会

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そいつが俺の前に現れてから、俺の人生は狂い始めていたのかもしれない 彼は最初から不思議な奴だった。 転校初日に初めて彼を見たとき、俺は純粋に綺麗なやつだと思った。 同性愛者が多く、金持ちばかりが集まったこの学園では小綺麗に着飾った奴は珍しくなかったが、転校生の容姿は世間一般から見てもずば抜けて綺麗な方だったと思う。 高校生にしては少し華奢な体つきに、生糸のように触り心地がよさそうな白金の髪は、電灯からの光を反射させて控えめに輝いていた。色素の薄いグレーに近い色をした瞳は瞬きする度に長い睫毛に隠れた。肌は薄く桃色に色づき、本来の白い肌理細やかな肌をいっそう惹きたてていた 転校生が教室に入ってきた瞬間、クラス中が息を飲んだのがわかる。 それは目の肥えた生徒達が思わず魅入ってしまうほど、呼吸をする時間さえ惜しむように、誰もが転校生に魅せられていた。 多分、今思えば俺もそのうちの一人だったんだと思う。 「渡草、あきお……」 転校生が教室に入ってきてから数秒、いやもしかしたら数分経ったのかもしれない、そう思うほどのインパクトを持った転校生が、言葉を発するため薄い唇が小さく開いた。 しんとした教室に転校生の柔らかなアルトが静かに響く。 伏せられた瞳は不安げにしばたいて、庇護欲を掻き立てられる。その瞳に自分だけを映させてみたいとも思うかもしれない。 其ほどまでの不思議な魅力が、彼にはあった。 クラス内は一変して小さなざわめきが広がった。 皆一様にその美しい容姿のことばかりが話題にあがっていて、内面はどうでもいいのだろう。 ひそひそと好奇の目に晒されて、転校生も大変だよなと俺は心中で呟いた。 暫くしてクラス中が次の転校生の言葉を待ったが一向にそれは出てこなくて。……どうやら自己紹介は名前を名乗っただけで終わってしまったらしい。 それを担任も察したらしく、じゃあ渡草の席は……と次の動作に移った
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