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朝の会が終わり担任が教室が出て行ったあと、転校生の席の周りには大きな人だかりができていた。
「渡草くんってどこから来たの!?」
「ねね、もしかしてハーフだよね? 肌がすっごく綺麗だから、やっぱりコーカソイドの血なのかな」
「羨ましいなぁ」
口々に発せられる羨望と建前と少しの嫉妬が入り混じった言葉。
この学園ではそれが当たり前で、皆どうすれば自分を印象よく見せられるかわかっている。
そんな言葉たちを一身に浴びせられる転校生は、とても気分が悪いんだろうな、とたった今出会ったばかりの転校生に心の中で同情した。
「あー今日も元気だねえあいつら。ねえ、恭平?」
「あ?あぁ……そうだな」
隣で呆れた表情でぼやく友人に頷きながら、俺も人垣で見えなくなった転校生を見た。
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