拒絶された孤独

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僕が、自分を捨てた親に持っているのは憎しみ?・・・哀しみ?・・・・・・ 墓地に行くと、既に先客がいた。 少年と同じような年頃の女の子だ。 少女は墓を前に泣いているように思えた。 「・・・・・・」 面倒事はゴメンだとばかりにきびすを返して戻ろうとした。 が、きびすを返した先には、施設長が柔らかく微笑みながら立っていた。 「・・・施設外に出たから追い出すか?」 「ふふ、私は許可無く出たらと言いましたよ?・・・まぁ今回は許可を出していないので、そうだ、あの女の子を慰めて来なさい」 「はぁ!?」 訳がわからない、つじつまが全く合っていない 嫌だと思ったが、無理矢理連れて行かれ、少女と目が合ってしまったので無視するのも面倒くさくなり頭を掻きながら少女に話しかけた。 「・・・何で泣いてるんだ?」 「ヒック、ここでお母さん達が眠ってるから・・・ヒック」 「・・・・・・そんな事か」 慰めようとするなら、絶対に出ない言葉を少女に投げ掛けた。 「ヒックヒック」 「君の両親が眠っているのは、そこじゃない」 「ヒック・・・?」 少年は少女の胸を指差し、そして少女の目を見つめながら言った。 「君の両親は、君と共にあり続けたいと願っている。なのに君がこんな狭い物に両親を閉じ込めて・・・君は嫌いなのか?」 「・・・(フルフル)」 少女は首を横に振り、涙を拭った。 「ありがとう、スザク君」
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