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魔力の才も、勉学の才も全てを持っている少年が、ただ1つ持っていないもの・・・それは親からの愛の記憶だった。
誰しもが、産まれた瞬間、一瞬でももらえる、ただ1つのものを・・・・・・少年は持ってはいなかったからだ。
「産まれた時に、捨てて・・・そして死んだ、だから僕は」
「貴方の御両親は、貴方を愛していましたよ」
「何で、そんな事がわかるんだ・・・」
弱々しい、いつもの毅然とした声は弱々しかった。
「今まで黙っていましたが、貴方の御両親は貴方を捨ててはいませんよ?」
「・・・えっ?」
聞いた瞬間、顔を上に上げて少年はキョトンとした。
施設長は少年の髪を撫でながら、優しい声で言った。
「貴方の御両親は、貴方を殺したくはなかったから・・・・・・」
しかし、少年が施設長から全てを聞くことは無かった。
同刻、施設の方から叫び声が聞こえたからだ。
施設長は少年に「ここにいるように」と言って、施設の方に走って行った。
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