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「・・・・・・ん」
今度目を覚ました時には、少年はベットの上で寝かされていた。
「あっ、目を覚ましましたか」
にこやかにベットの横で本を読みながら、見た目は人間の男が話し掛けてきた。
少年は顔を横に向け、男を隈無く射るように見つめた。
「おや?私の顔に何か付いてますか?」
少年は、顔を横に振ると「悪い夢をみた」と言って男から顔を反らす。
「ああ、さっき見た物が夢だと思っているんですね?」
その言葉に、少年は体を強張らせて小声で「違うの・・・?」と顔を反らしたまま男に尋ねた。
「ここは魔王城です。貴方は生け贄として運ばれました」
にこやかに笑いながら答える男に、少年は強張らせた体を更に緊張させてしまう。
「ですけど、貴方を取って食おうなんてしませんから・・・安心してください」
少年の頭を軽く撫でる手が、暗い空間で感じた暖かさに似ていて最初は強張らせていた体は、やがて落ち着いてきた。
「・・・・・・スゥ」
「あらあら、また寝てしまいましたか」
少年を魔族としてではなく、1人の生き物として優しく見つめ、男は手を鳴らす。
「そうだ、この子・・・ここで育てましょう」
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