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そう抱えあげながら微笑むと青年の背から翼が現れ、周囲に羽を散らしながら曲げ伸ばしを繰り返した。
翼は左右色が違い右は夜に溶け込みそうな黒、左は逆に眩しいくらいの白色をしていた。
曲げ伸ばしが終わると少し顔をしかめながら「目立っちまうな」と近くにあったゴミ箱を踏み台にして空に向かって飛んだ。
屋根より高くだが雲より遥かに低く、身体は地面に平行とまでは行かなかったが確かに青年達は飛んでいた。
「空を飛ぶなんて中々出来るもんじゃねえだろ」
腕で抱えている女性にそう言い笑いながら、彼女が言っていた家の場所まで飛んで窓から室内に侵入した。
室内は簡素で、ベットの他には棚とテレビくらいしか無かったが入る前に確認したところ、ここは一軒家で女性は一人暮らしらしかった。
青年はそのまま女性をベットに寝かせると窓に振り返ったが、いつの間にか気を失っている女性の指が服を離さないため出ていく事が出来なかった。
一瞬驚いた顔をしたが、すぐに息を吐きベットの近くに座って目を瞑った。
身体も限界に来ていたから、眠っても大丈夫だろうという考えからだ。
その後、彼は寝息を立てて寝始めた。
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