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日が昇り始めるまで時間が経ち、窓から彼に向けて日光が差し込み顔を照らし出す。
光に顔をしかめながらも薄く目を開くとベットに女性の姿は無く部屋の中にもいなかった。
ポケットからタバコを取り出し口にくわえようとした時に部屋の扉が開き、昨日助けた女性が食器の乗った盆を持って入って来てタバコを吸おうとしている青年を見て少し驚いていたがすぐに笑顔になり口を開いた。
「タバコを吸うなら窓少し開けますね」
女性は盆を渡すと窓を開き、青年に向き直って微笑んでいた。
「良いのかい?男を部屋に居座らせて」
「良いも悪いも昨日は助けてくれたじゃないですか」
そういうものなのか、釈然とはしなかったが渡された盆に乗っていたスープの入った食器を手にして火を付けていない取り出したタバコをしまってから飲みだした。
男に対してトラウマを負っていても当たり前だと思ったが、どうやら心だけは頑丈らしい。
「・・・・・・美味いな」
地上では酒とツマミ程度しか口にしていなく不摂生、普通に食事が取れても味気ないものばかりだったので、このスープが今まで口にした何よりも美味しいと思えた気がした。
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