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「あれ?そんなに溜めてましたか」
惚けた様に、微笑みながら煙草の火を消す。
そして、何かを思い出したかのように口を開いた。
「貴方がここに来て一年ですか、早いもんですね」
「一年前はこんな事になるなんて思っていなかったですよ」
口調は敬語だが、明らかに少年の声には呆れの色が出ていた。
《貴方・・・ここに住みなさい》
《はっ!?》
《駄目ですか?・・・仕方ないですね、じゃあ生け贄にしますか・・・・・・不味そうですが》
「あれは脅しですよね」
「私としても息子が欲しかったからですよ」
息子って・・・と呟きながら少年は「じゃあ行ってくださいね」と言って屋上を後にした。
最初は興味本意で屋上の通路を見つけたが、後から魔王に「みんなには内緒で」と少年に念を押したので魔王城には、屋上の存在を知る者は2人以外はいない。
「はぁ」
溜め息を吐きながら、少年が足を運んだ場所は書庫だった。
暇な時に時間を潰すのに丁度良かったのと、一年前は城の者達と中がいざこざしていたので逃げるには条件が良かったのが始まりだった。
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