荒城の守人と魔装竜

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ばつが悪そうに沈黙する副官。コックピット越しに溜め息を着き、指揮官が口を開く。 発掘調査の対象は、砂漠の果てにある荒城。風化が進んだ城壁に囲まれた、殆ど崩れかけの城である。 大異変以前に存在した王国の名残で、兼ねてからゾイドの研究が進められていた。また、代々に伝わる守護神や封印された開かずの間など、古来からの謎も多い。 「だったら、尚更この大部隊は……」 尚も納得できないでいる副官。本国から配属されたばかりの彼は、次の事を知らなかったのだ。 「聞いたことはないか、『砂漠の黒竜』の噂を。」 ディガルドの入植以来、この砂漠を通った戦闘ゾイドは皆無である。特に、バイオゾイドに於いては。 司令部も捜索に乗り出したが、足跡や残骸はおろか戦闘があった痕跡さえ見つからなかったのである。 遠巻きに目撃した旅人は、強烈な砂嵐の中にラプターを殺戮する黒い巨竜の影を見たという。
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