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「なるほど、それなら調査団の活動も妨害されかねませんね。」
「そうだ。くれぐれも用心しろ。」
注意を喚起する指揮官。その声には若干のノイズが掛かっていた。
『大尉、砂嵐です。』
先行するラプターからの通信だった。指揮官が警戒態勢を取らせ、彼らの進行速度が下がる。
銀色の装甲を叩く、黄土色の砂嵐。ゾイドの駆動音だけが響く、束の間の静寂。
「砂嵐は竜の呼び水、か。」
街で囁かれる噂が脳裏をよぎる。
その時だった。
トリケラのパイロットの全身の毛が逆立った。
特にセンサーが敵機の存在を知らせた訳ではない。それは本能的な危険察知に近い、闘うものだけが感じ取れる、心臓を押し潰されるようなプレッシャーだった。
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