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朝、約束通りの時間に澪が迎えに来た。
澪は何やら大事そうに雑誌を抱えている。
「何の本持って来たん?」
「あぁー、これ?
ジャジャーン。『新撰組と歩く京都』 雑誌で特集やっててん。」
「あははー、さすが澪。準備ええなぁ。」
「そやろ?そやろ?
しかも、これなー、どのバスに乗って、どういう順番で巡ったらええのかも、書いてあるんやで。勿論、その近くの美味しいご飯屋も。」
「ホンマ? ほな早よ行こう。」
澪と並んで、足早に駅を目指す。
「そや。昨日話し途中で変わってしまったけど、どうなん?」
いきなり質問をされたが、何の事か分からず、首を傾ける。
「夢の話し。ホンマは最近見たんやろ?
昨日その話しした時、何か様子おかしかったし。」
澪の顔からは心配の色が見える。
その気持ちが嬉しい。
私にとっても澪は、かけがえのない親友やから。
「うん。一昨日の夜になぁ、めっちゃ久しぶりやったわ。やから、昨日そのタイミングで夢の話しされて、ビックリしてん。」
「そっかー。で、何でそんな悲しそうな、顔してるん?」
「夢の男の人な、めっちゃ悲しい顔してた。今まであんな顔見た事あらへんかったから…
『どうしたん?』『何かあったん?』って聞きたかっけど、声が出てくれへんかった…
起きた時泣いとった。
ただの夢やのに可笑しいやろ?」
愛姫は笑顔で話してるが、とても切ない笑顔で、澪まで苦しくなる。
何て返事をしたらいいか、迷ってる澪の横で、愛姫は昨日見た夢も話し始める。
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