プロローグ

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加賀 照良(カガ テルヨシ) ─────神奈川県座間市。 それが俺達が住むこの街の名前だ。 その見慣れた街並みの中を、 他の皆とも別れて住宅街の中ただ一人家への道を歩いていた。 自分で言うのも悲しいものだけれども、 低身長で少しぽっちゃり体型の少年、 中学校の制服である学ランの胸にはコサージュがついている。 それが俺、加賀 照良だ。 まぁ突然なんだけど、 服装でわかる通り今日俺達は、 母校である"栗野中学校"を卒業したんだ。 ついさっきまで卒業打ち上げで皆でワイワイガヤガヤやってた訳だけど、 来月からは早くも高校生。 生意気にも 「人生って待ってくれないんだな」 なんて思ってたりしながら、 今こうして歩いている。 ついこの前入学したような気がするんだけど………意外と時間が経っていたみたいだ。 ちょっと人見知りなとこがあるから、 一年のはじめは中々新しい仲間に馴染めなくて、 でもだんだん打ち解けられて、 友達に誘われて勢いで入っちゃった柔道部に、 栗の実祭や修学旅行だったり、 何よりも普段の学校での生活。 今一人、 最後の帰り道で思い返してみても、 やっぱりあの三年間はたからものだって胸を張ってそう思えた。
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