プロローグ

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海老名市 県央農業高校 加賀 照良 そしてついに迎えた入学式。 ……はい、 突然時間とんだなとか思ってんだろ? 気にしちゃ駄目だよ? 今は俺達は学校の敷地内にある "いのちはぐくむ" と刻んである記念碑の前で、 クラス記念写真を撮ってるところだ。 新しいクラスは一年一組。 晴れた空にほどよく出た白い雲。 これ以上の入学式日和がはたしてあるだろうか。 俺達はそんな空の下、 真新しい制服を着て並んでいた。 っても、 女子は紺のブレザーと紺のスカートだとしても、 俺達男子は黒の学ランだから、 俺は中学校と大差無いんだけどさ…… でも、 各ボタン襟に付いた高校の校章が、 僕を新鮮な気持ちにさせるには十分過ぎるくらいだ。 にしても、 まだ全く話しとかしてないけど色んなやつがいるなぁ。 あいつイカついなぁ…… あそこの女子はギャルだし…… でもやっぱりおとなしそうな子もいる…… んでもって、 出席番号で並んでるんだけど隣にいる黒いやつ。 身長は俺と同じくらい……に見える。 目はこの時を待っていたかの様に、 強く凛と輝いていた。 ……こいつ、 なんでか親近感感じるな。 俺と同じでチビだからか? まぁ俺と違って痩せてるけど…… 一瞬そいつと目が合う。 「えっと…よろしくっ!」 人の良さそうな笑顔でそう言ってくるそいつ。 もちろん俺も笑顔で挨拶を返す。 「よろし…」 「はーいじゃあ皆さん前を向いてー!」 え!?ちょ!? 挨拶を返す前にカメラマンは俺達にそう言う。 俺も隣のそいつも慌てて前を向く。 そしてカウントダウンを始めるカメラマン。 「はい! 3…2…1!」 パシャ! 青空の下だってのにフラッシュはやけに眩しかった。
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