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「まあ…な。警察とか呼んだの僕だし」
「まじか!なら、生徒指導のところ行ってこいよ」
僕は思いっきりため息をついた。
しかし、教室の騒がしさに打ち消される。
「見たのは見たんだけど、人に教えられるほどの素晴らしい情報は持ってないんだ。あの時は混乱状態に近かったし」
「なるほど」高橋は答える。「でも……本当に何も知らない、覚えてないのか?」
僕を覗き込む。
瞬間、僕は、思い出した。確か、あの時僕は……。
「お、思い出したかも……」
あの時僕は……撮ったはず。
「そうか。なら、是非伝えに行けよ?それに、もし情報がなくても、『僕が警察に連絡しました』って言うだけで充分だと思うぞ」
「わかった。ありがと」
十分の休み時間に行くのは難しかったので、昼休みに行くことにした。
昼食を早めに済ませ、僕は生徒指導室へ向かった。
歩きながら、僕はページをまた一枚めくる。
…………あった。
昨日のひき逃げ事件の証拠。
走り去る車の後ろ姿が写っている。
下には倒れている高校生と自転車、そして僕の自転車のカゴが写っていた。これを元に何か言えばいい。
幸運なことに、ひき逃げ車のナンバーが見える。
これを言おう。
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