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言うべきことを整理しているうちに、嫌な嫌な生徒指導室に着いた。
何故嫌なのかというと、ここに用事がある時はたいてい良くないことが原因だからだ。
きっと誰もが好まない部屋だろう。
身なりを簡単に整え、ノックをする。
向こうから「入っていいぞ」という返事が来たので、ドアを開ける。
そして言った。
「昨日のひき逃げ事件のことなんですが」
すると、中にいた数人の先生はみんな僕を見た。
厳しい目だ。怖いから止めてほしい、本当に、冗談抜きで。
生徒指導の担当に当たる先生は怖いんだ。
甘い先生はきっとここには入らないんだろう。
「何か知っているのか?」
僕は頷き、中に入ってドアを閉めた。
「あの事故の時、たまたま近くにいて……。驚いて混乱状態になり、行動はちょっとしたことしかできませんでしたが、車のナンバーは見ました」
言い訳をしっかりしてから本件を言った。
「本当か?」
「はい」
空気が更に張り詰める。
嫌いだ。
こんな空気。
さっさと済ませたい。
先生の一人はメモ用紙とペンを取った。それを見計らって僕は言う。
「僕の記憶が正しければ」
僕は車のナンバーを見る。
「2512です」
確かにその写真にはそう写っている。
確実だ。生徒指導部長の先生が言った。
「ありがとう。本当に感謝してるよ。名前は何ていうんだ?」
「えっと、二年二組十番松村です」
「二組の松村だな?貴重な情報をありがとう」
僕は頷いて「失礼します」と言い、ここを出ようとした。
その時だった。
「君!」
誰かが僕を呼んだ。
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