ひき逃げ

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僕は再び先生たちを見る。 その中の一人が僕に近付いてきた。そして僕の肩に手を置くと、 「午後からこの子を預かってもいいですかな?」   その一人は生徒指導部長に言った。 「え? え、えぇ。いいですよ」   生徒指導部長の先生は承諾した。   僕は驚き、僕を連れ出そうとしているその一人を見上げた。 身長が高い。よく見ると、この人は教員ではない。 警察? 違う。私服を着ている。よれよれのTシャツを。 誰なんだろう?   僕の疑問に気付いたのか、生徒指導部長が言った。 「その方はこの近くに住んでいらっしゃる人だよ。今回の事件のことに興味があるらしく、ここにいらっしゃった」   なるほど。でも、何に興味があったんだろう?  近くでひき逃げがあったことがそんなに珍しかったのか?   いろいろ考えている途中だったが、その人が「さあ行こう」と僕を急かしたので、それを考えるのは一旦止めた。
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