ひき逃げ

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「ん?どうかしたか?」 「いや……何も」   神田さんは白い建物に入っていく。 白い研究所に。 僕は彼を追って建物に入る。 昨日来た時と同じように、いきなり複数個のドアだ。 神田さんはポケットから鍵をひとつ出して、1番右の部屋を開けた。 「さあ、どうぞ」   ドアを開け、手招きをする。 僕はその一番右の部屋に入った。   中は何とも普通の部屋だった。 テレビが一台あり、テーブルがあり、ソファーがあり……。 「ここって本当に研究所なんですか?」   僕は思ったことをそのまま口に出してみる。 「そうだ。さっきいくつも部屋があるのを見たろ?それぞれ違う部屋で、その中のひとつであるこの部屋は私が生活をする部屋だ」   ここで寝て、食べてをやっているのか。 じゃあ絵に描くような研究室は、ほかの部屋にあるんだな。 きっと。
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