ひき逃げ

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神田さんはテレビをつける。普段は見ない番組がやっている。 「ところで」 僕は神田さんに聞いた。 「僕は確かにあなたのいう通りでしたが、どうして断定できたんですか?普通あれだけの情報であんなことは考えませんよ」   神田さんは何でもないような顔で答えた。 「最近、そういう現象が起きる可能性がある、という仮説を立てたからだよ。松浦君に会う前からそういう能力については考えていたんだ」 「すみません…松村です」 「おぉ。悪かった」   この人、直す気があるのだろうか……。 神田さんはソファーに座り、テレビの音量を下げ 「あ!松村君も座りなよ」 僕をソファーに誘った。 僕は神田さんと少し離れた位置に座った。 神田さんは言った。 「じゃあ、本題入っていいかな?」   そういえば、どうして連れて来られたのか聞いてなかったな。 「いいですよ」   神田さんはタバコをポケットから取り出し、吸いはじめた。 やめてくれ。僕は苦手なんだ。本当に。
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