ひき逃げ

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「君自身は十二分分かっているだろうが、その能力はハッタリでも何でもない。本当に君は写真を撮ったかのように一瞬を脳の中に保存することができる。しかし、それが君にだけしか見えないのは不便じゃないかね?」   いや、そうでもないが。 首を傾げると、神田さんはウンウン頷いた。 「まあ、まだそう感じたことはないかもしれないな。だが、それを使って今後何かをしていくのであれば、他人にも見えるようにした方がいい」   何か? 「何かをしていく、というのは?」 「今日君がしたことがその例だよ」   今日僕がしたこと――撮ったものを見て、そこから得た情報を他人に伝える。ほう。 なるほど。 「確かに、そういうことならこれを現像出来たほうが都合がいいですね。しかし、それをどうやるのですか?」   すると、神田さんは突然立ち上がり、テレビの電源を消した。 突然だったので、僕はたじろぐ。 「私は脳の研究をしているんだ。これでも医師をやれるだけの技術、知識、資格は持ってるんだぞ」   神田さんはそう言った。 つまり、僕は脳の手術を……。
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