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「どこ行ってたのよ!馬鹿ぁぁぁ!!」
朝海は明を何度も叩いた。
「おまえこの前、星をすぐ近くで見たいって言ってたろ?だから山のてっぺんまで行って虫あみで捕まえようとしたんだ。だけど、わりぃ。俺、チビだから、全然届かなかった。だから、俺、俺がおまえの星になる。真っ暗になっても、俺が照らしててやる。なっ?」
明はボロボロになった虫あみを自分の頭に被せた。
「朝海だけの星、つーかまーえた。」
「明ばっかりずるい!じゃあ私は…私は明の月になる!」
「何で朝海は月なんだよ!ずるいぞ、なんか月の方がカッコイイじゃん!」
「だって私の方が体大きいんだから、明は星で私が月ね。決まりっ♪」
そんな二人のやり取りを見て、雅子は安心して家へと帰った。
下手くそな明の字をなぞりながら、朝海は懐かしい過去を思い出していた。
「着いたぞ!」
朝海は辺りを見渡すと、視界いっぱいに大きな海が広がっていた。
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