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朝海は泣いていた。明の言う通りだった。港にイルカがいないのも、実際に探してみたわけではない。明は物事の全てを自分の目で確かめようとしていたのだ
しかし、明の呆れた言動には限界を感じていた。
だいたい何で彼女でもない私が明の面倒を見なきゃいけないのよ。
今までどれだけ明の世話をしてきたと思ってるのよ!あんなやつ絶交だわ!
朝海はふと顔を上げた。
さっきまで青かった景色が、すべて赤色に変わっていた。海も、空も、みんな赤色だった。夕日が優しく朝海に微笑んだ。
この景色を明が見たら何て言うだろう?こんなの海じゃない!青じゃない海は海じゃない!
…それとも、なぁ朝海!空も海も夜が近付くと赤くなるんだな!朝海のほっぺたも赤いのはそのせいか??って言うかしら??
ダメよ!ダメ!
もう明の事は考えない!私には関係ない事なんだから!
朝海が一生懸命明の事を忘れようとしている時、遠くの方から人が近づいてくるのがわかった。
…明だ。
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