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「なぁ朝海!俺も作家になれんのか?」
「あんた昔は目指してたじゃない?もう一度目指してみたら?」
「でも本当になれるのか?挫折とかしねぇか?」
「それはあんたが決める事だよ。立ち止まったら挫折になるの。でも走り続けたら経験に変わるの。挫折にするか、経験にするかはあんた次第。さぁ、篠塚明はどうしますか?」
「俺、作家になる!朝海!俺作家になるぞ!」
明は立ち上がりながら叫んだ。
「うまく行かない時はどうする?やめる?」
「いんや、やめねぇ!絶対なってやる!俺決めたんだ!」
明の顔は笑顔に満ちあふれていた。
月の光のせいなのか、明が眩しいのか、朝海の顔も輝いていた。
「なぁ、朝海!俺はこっちの山のてっぺん目指す!だからおまえはあっちの山のてっぺん目指せ!なっ?」
「…うん!私もてっぺん目指す!明の山よりもずっと高い山のね!」
「ばっ、馬鹿!俺の山のがずっとずっと高いんだぞ!エレベ…レベエ?」
「エベレストの事??」
「しっ、知ってるわ!」
…その日、明の真っ白な進路希望調査には文字が書かれていた。
『作家になっててっぺん目指す!』
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