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「じゃあここで1回休憩ね。10分後再開するからそれまでのんびりしてて。」
雅子先生は…雅子先生?
なんかしっくりこないな。雅子はそう言い終えると教室を後にした。
「なぁ朝海!これ何て曲だ?」
音楽に全く興味のない明が目を輝かせて聞いた。
「いきなりどうしたの?あんたクラシック音楽に興味あったっけ?」
「全くねぇ!でもこの曲すげぇーな。何て言うか体も心もフワーって吸い込まれるみてーな。」
「そう、それが音楽の持つ力であり最大の魅力よ。この曲はねぇ、パッヘルベルのカノンって言う曲よ。」
「パッヘルベル?カノン?誰だそれ?おまえの友達か?」
「…なわけないでしょ…。偉大な音楽家よ。」
「そいつすげえのか?」
「その人は時を越え、国を越え…そして馬鹿なあんたにでさえ音楽の素晴らしさを伝える音楽を作った人よ。私はこんな音楽家になりたい…。」
「へぇ~朝海は将来バッヘヘ何とかになるのか!おまえ横文字の職業って何だかすげぇーな!」
「…私がなりたいのはピアニストね…」
こんなくだらない事を思い出しながら、明は音楽室のドアを開けた。
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