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ドアを開けると、朝海がピアノに向かい一生懸命練習していた。
さすがの明でさえも、邪魔しちゃ悪いというのがわかった。
「あーいつもここで間違える。今度こそは…」
明に気付かない朝海は夢中で練習した。
こんな真剣な朝海を見るのは初めてだ…というよりもいつも朝海は側にいて勝手に視界に入るだけで、見ようと思って見るのは初めてだった。
「へぇ~、いつもはただのうるさい近所のおばさんだと思ってたけどあいつ頑張ってる時あんな顔するんだ。」
明は真剣な顔の朝海を真剣な顔で見つめた。
あの時と同じように、音楽室を朝海が奏でるメロディによって不思議な世界へと変えた。
「ふぅー。ちょっと休憩。」
朝海が椅子から降り、出口の方を見る。
「わっ!!びっくりした!明いつからいたの?」
「それは地球ができる遥か前、まだ宇宙が…」
くだらない事を言ってる明をよそに驚きつつ、でもほんの少し安心もしつつ
「いるならいるって言ってよー。恥ずかしい所見られちゃった…。」
朝海は照れつつ、楽譜をもう一度見直した。
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