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朝海は海岸の隅っこで小さくなっていた。
明が近寄ると急いでまぶたをこすった。
「泣いてんのか?」
「私が泣くわけないじゃない!」
「なぁ、おまえどうした?何があった?」
「別に…。ただちょっと落ち込んでるだけ…。」
「何で落ち込むんだ?おまえすごかったぞ?」
朝海は小さなため息をつくと空を見上げながら話し始めた。
「私って才能ないのかなぁ~って。小さな頃からずっとピアノを続けてるのに目立った賞は一つも…。明は良いよね。周りのみんなに才能を認めてもらえて、応援もしてもらって…。」
明は胸が痛くなった。
「あっ…朝海、あのさぁ?」
「んっ?」
「あれ…嘘なんだ。」
「嘘?」
「ほらっ、作家になるってみんなに言ったらみんなが応援してくれてるって言ったの嘘なんだ。」
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