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明は朝海の顔色を伺いつつ、また話し始めた。
「ほらっ…何っていうか…。本当の事を言えなくてさっ。本当はみんなに大笑いされた。おまえには無理だって。ごめん、嘘つく気なかったんだ。」
朝海は不満気な表情を浮かべながら、立ち上がった。
「私に嘘つくなんて信じられない。私にだけは本当の事言ってくれると思ったのに。」
朝海はスタスタと水際に向かって歩き始めた。
「…ごめん。」
明の小さな声は波の音に掻き消された。
朝海は波打ち際でしゃがんだ。
「なぁ、朝海!」
波の音に掻き消されないように大きな声で叫んだ。
「これだけは本当だ!おまえ凄かった!俺、音楽の事、全くわかんねーけど。おまえ凄かった!俺、感動したぞ!」
朝海は明の方を振り返ると、もう一度下を向いた。
明は朝海の側まで駆け寄った。
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