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明と朝海は砂浜に座りながら海に沈んでく太陽を見つめていた。
二人は無言だった。
聞こえるのは波の音だけ。
気まずかったんじゃない。言葉なんていらなかったのだ。
朝海は口を開いた。
「明、あたしね。賞なんていらない。私の音楽で誰かを感動させる!」
「そうか…いいんじゃない?賞取るために苦しみながら練習してんの、おまえらしくねーよ。」
「…うん、そうだね。私どうにかしてた。」
「じゃあ俺は言葉で、文字で誰かを感動させる!」
「うん!お互いてっぺん目指そうね!」
「あぁ!エレベ…レベェ…」
「エベレスト?」
「おっ、おう!エベレストよりも俺は上に行く!才能なんて関係ねー!可能性なんて関係ねー!俺は…。俺は飯で夢を…あれっ?」
「あちゃー。大事な所で間違えたね…。夢で飯を食う、でしょ?」
明は顔が真っ赤になった。
「うるせーよ。」
太陽は姿を消した。
代わりに月が顔を出した。
明と朝海は海を後にした。
バイバイ、太陽。またねっ。
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