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「どうやら俺は花の咲く種を持ってないらしい…。俺の持ってる種は雑草の種だそうだ。」
「…雑草かぁ~。」
朝海は小さくつぶやくと辺りを見渡し、どこかへと走っていった。
少し経って、朝海が戻ってきた。
「ねぇねぇ、これ何かわかる?」
朝海の手にはタンポポが一本。
「おまえ馬鹿にしてんのか?これぐらい俺にだってわかるよ!タンポポだろ?」
「うん。知ってる?タンポポも雑草なんだって。でもキレイな花が咲くの。『あきら』という名の雑草は花が咲かないの?」
「雑草も花が咲くのか?すげぇ~な。」
「明、夢を見るのは悪くないと思うよ。いつかきっと花が咲く。そう信じて生きる雑草も素敵だと思うよ?」
「いつかきっと花が咲く…かぁ~。」
明は目を輝かせた。
「私がその雑草に名前を付けてあげる。そうだな~何がいいかなぁ~…。…『夢追い草』ってのは?」
「夢追い草??」
「うん、雑草なんだけど、その草はいつか花咲くと信じてるの。みんなに笑われて馬鹿にされて…それでも花が咲くと信じてるの。」
「夢追い草か!いいなぁ!それ!」
二人きりの公園。
月はニッコリ笑うと姿を消した。
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